この闇と光 服部まゆみ レビュー

小説

起立!気を付け!礼!どうもこんにちはあるる先生です!

本日は服部まゆみさんの「この闇と光」を読んでみた感想を紹介していきたいと思います。

この闇と光 著者:服部まゆみ

あらすじ

森の奥深く囚われた盲目の王女・レイア。父王からの優しく甘やかな愛と光に満ちた鳥籠の世界は、レイアが成長したある日終わりを迎える。そこで目にした驚愕の真実とは……。耽美と幻想に彩られた美しき謎解き!

引用:出版社 角川文庫

感想

この物語の世界観を理解するのは、私にとって非常に難解でした。他の多くの作品とは異なり、登場人物が自己紹介するシーンがないため、物語を読み進める中で少しずつ理解していくしかありませんでした。主人公の名前や、盲目であるという設定についても、初めはその情報があまりにも曖昧で、なかなか把握することができませんでした。

物語の前半部分は、あたかも読者自身が視覚を失ったかのような感覚に陥るような独特の描写で進行していきます。視覚的な情報が極端に少なく、読者は手探りで物語を追っていくことになります。この不安定さが物語の世界観と非常にマッチしており、読み手に強い印象を与えます。しかしながら、そのために読み手は余計に混乱し、物語の理解に時間がかかるのです。

ところが、物語が後半に差し掛かると、その混乱は次第に収束していきます。そして、読者を驚かせる展開が次々と繰り広げられるのです。前半から感じていた微妙な違和感が、後半で明らかにされる展開には驚かされました。あの結末を迎えるとは、まったく予想もしていませんでした。

率直に言って、私のような読み手にとっては、この作品を完全に理解するのは容易ではありませんでした。物語の解釈においては、どうしても解釈がつかずに悩む部分があり、そのために読後のモヤモヤ感が残りました。こうした点から、この作品に対しては賛否が分かれるだろうと感じます。

とはいえ、物語の前半と後半のコントラストは、まさに「闇」と「光」のように鮮やかです。暗闇の中で何かを掴もうとするかのような前半に対し、後半では一気に真実が明かされるという構成は、非常に見事であり、作者の文章力と構成力には驚かされるばかりです。

この作品の魅力に気づくかどうかは、読み手それぞれの感性や理解力に依存する部分が大きいかもしれません。しかし、それでもこの作品が持つ独自の世界観や巧妙に張り巡らされたストーリー展開が素晴らしいものであることに、疑いの余地はありません。たとえ全てを理解しきれなくても、この作品が読者に与えるインパクトは強烈であり、そこにこそその価値があると感じています。

まとめ

結論として、この作品は「好きな人は好き」、そして「苦手な人は苦手」と感じるタイプの作品だと思います。ただ、ここで言う「苦手」とは、作品が面白くないという意味ではなく、私のように読後にモヤモヤが残る感覚が苦手だということです。もしかすると、圧倒的な考察能力を持つ人が読めば、私が見落とした部分が明らかになるかもしれません。

それでも、物語としては非常に面白く、引き込まれる展開が待っています。ぜひ、皆さんも一度手に取って読んでみてください。

それでは本日はここまで起立!気を付け!礼!ありがとうございました!

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